行政書士・社会保険労務士永井弘行事務所

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脱退一時金の支給額(見込額)を計算するには

脱退一時金の計算式は

脱退一時金の計算式は次のとおりです。

脱退一時金=

厚生年金保険の加入期間の平均標準報酬額×

支給率{(厚生年金保険料率×1/2)×被保険者期間に応じた係数} 

 

脱退一時金の支給率

被保険者期間

(厚生年金保険の加入期間)

係数

(支給率計算に用いる数)

6月以上12月未満
12月以上18月未満 12
18月以上24月未満 18
24月以上30月未満 24
30月以上36月未満 30
36月以上 36

 

脱退一時金の見込額を自分で計算するには

ケース1:大まかでよいから早く知りたいときは

多少の誤差が出てもよいから早く見込額を知りたい、という場合は

・過去の年収の約9%が、3年分を上限に脱退一時金として支給される。

・例えば、年収300万円で3年間働いた外国人には、約81万円が支給される。

(900万円×9%=81万円)

となります。

概算額でよいなら、この計算方法で脱退一時金のおおよその金額水準がわかります。

脱退一時金の見込額を出国前に日本年金機構に尋ねても、1円単位の正確な回答は有られません。

脱退一時金の見込額を自分で計算するには

ケース2:見込額を正確に計算したいときは

自分で正確に計算しようと思えば、まず会社勤務時に給与・賞与から引き去りされた厚生年金保険料の総額を把握します。

毎月の標準報酬月額とボーナス時の標準賞与額を集計する必要があります。

 

この情報は年金事務所の窓口で「被保険者記録照会回答票(資格画面)」を請求すれば、過去の保険料支払実績として知ることができます。

そして過去に支払った厚生年金保険料の総額を合計し、1月当たり平均額(平均標準報酬額)を算出します。

その平均標準報酬額の36か月分を上限に支払われることになります。

脱退一時金の計算例は

脱退一時金の計算例は

「年収320万円で3年間働いた人」の金額例をみてみましょう。

計算例のとおり、約87万円の脱退一時金が支払われます。

 

 前提条件

・毎月の賃金20万円

・賞与1回あたり40万円(賞与は年2回支給)

・年収320万円の従業員(20万円×12か月+40万円×2回)

・日本で3年間働いて帰国した場合

  … 標準報酬月額20万円、標準賞与額40万円として計算

 

②計算方法

(20万円×36か月+40万円×6回)÷36か月=960万円÷36か月

=266,666円←これが平均標準報酬額です。

266,666円(平均標準報酬額)×18.3%(厚生年金保険料率)×1/2×36(係数)

=878,398円(脱退一時金)

 

さらに、脱退一時金から20.42%の所得税(179,368円)が源泉徴収されます。

そして、差額(699,030円)が外国人の指定する銀行口座に支払われます。

中国など海外の銀行口座にはアメリカドル(USD)などの通貨で送金されます。

 

源泉徴収された所得税は後日、還付申告することで、払い戻しを受けることができます。

(注)厚生年金保険料率は2017年(平成29年)9月以降、18.3%で固定です。

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